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意見表明(1998年-2010年)

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裁判官の大幅増員を求める決議

1998年(平成10年)3月24日
神戸弁護士会

 わが国が、今後も健全な民主主義社会を維持、発展させるためには、司法の果たすべき役割と責任は重い。社会生活はますます複雑化、専門化し、当事者間の自主的な解決を困難とする多様な紛争が増加しつつあり、また近時発生している多くの事件は、国民生活に大きく影響する行政や企業の活動には公正な法規範の遵守が不可欠であることを示している。また、これまで予想されなかった悪質で大規模な犯罪に対し、司法が迅速かつ適正な刑事手続により対応する必要があるのも明らかである。司法の機能と容量を大きく拡充することが今切実に求められている。

 しかるに、わが国の司法は、裁判官が慢性的に不足し、裁判の遅延等の機能不全を起こしているといわれて久しい。民事司法においては、往々にして権利の実現は遅延し、時には事案の解明が不十分な場合がある。また、刑事司法においても裁判の遅延がある。

 このように司法は、決して満足のできる状況にはない。その大きな原因の一つが、裁判官不足にあることは明らかである。

 『新民事訴訟法』は、裁判の適正・迅速と国民に利用しやすくわかりやすい裁判という理念を掲げて平成10年1月に施行された。この新法の理念は、裁判官や職員の増加、法廷などの物的施設の増設なしには、到底実現できない。そこで、裁判官不足を解消し、各々人員を大幅に増員するため、抜本的な予算措置をはじめとする必要な措置が講じられる必要がある。現在司法試験の合格者が増員されつつあるが、裁判官の増員がなければ国民にとって司法の機能と容量が拡充したとはいえず、いまこそ裁判官の増員が具体的に検討、実現されなければならないときである。

 以上のとおり、当会は、最高裁判所をはじめとする関係当局に対して、裁判官不足を解消するため、今後10年程度を視野に入れた大幅な裁判官増員計画を早急に立案し、抜本的な予算措置をはじめとする必要な措置を速やかにとることを強く求める。

上記のとおり決議する。

(備考)本決議は、最高裁判所、大阪高等裁判所、神戸地方裁判所、法務大臣、大蔵大臣宛に送付しました。