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1997年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「倒産で会社更生」神戸新聞 1997年7月3日掲載

執筆者:津久井 進弁護士

「X社倒産/更生手続き申請へ」。ある有名食品メーカーが倒産したという記事を見て、弁護士のところへ今回の相談者がやって来ました。

相談者:あのX社が倒産したそうですね。

弁護士:不況が長く続いているからね。大会社でも体力がないと倒産に追い込まれるんだね。

相談者:倒産ということは、いわゆる破産ですか。

弁護士:いやいや、新聞にも書いてある通りX社は会社更生法に基づき更生手続きを申請するんだ。

相談者:会社更生ですか。

弁護士:そうだよ。

相談者:私もこれまで何度か会社更生という言葉を聞いたことかありますが、破産とは違うんですか。

弁護士:一概に破産と言ってもいろいろあるんだよ。倒産とは要するに経済的に破たん状態に陥ることをいうわけだが、処理法の選択肢は大きく分けて二つある。会社をたたむか、続けるかどちらかだね。

相談者:なるほど。

弁護士:会社をたたむ方向で進めるタイプを清算型という。要するに会社の財産を洗いざらい清算して、債権者に分配するんだ。清算型にもいろいろな手続きがあるが、典型的な手続きが破産なんだ。

相談者:そうすると、会社更生は会社を続ける方の手続きですね。

弁護士:その通り。最近、勘がさえてるね。会社を継続して出直すタイプを再建型と呼んだりするんだが、会社更正手続きは、再建型の手続きの中で、再建の見込みのある株式会社に限って適用が認められる制度なんだ。

相談者:それなら、私の父がやっている八百屋がつぶれても更生手続きはできないですね。

弁護士:株式会社じゃないからね。それに、再建の見込みが十分に認められないと更生申し立ては棄却されてしまう。非常に複雑な手続きだから、要件も厳格なんだ。

相談者:会社更生手続きはどうやって進められるんですか。

弁護士:手続きが開始されると管財人が選任され、以後は管財人が経営をしていく。また、管財人は資産や負債の状況を調査して、最終的には再建の計画案を作って、債権者たちの承認を得ることになる。

相談者:そうすると、手続き中は営業できるんですね。

弁護士:そうだよ。ああ、そうか。ずいぷん熱心に聞いていると思ったら、X社の製品は君の好物だったね。それなら、きちんと新聞を読んで、今後の進行状況をしっかリチェックしないといけないな。