「不動産取引の前に…」神戸新聞 1997年11月20日掲載
執筆者:大西 淳二弁護士
一般の市民でも、不動産取引の前にその土地、建物の権利関係などを調べることができます。今回は登記簿の閲覧方法などの紹介です。
相談者:私の友達のT君が別荘を買わないかというんですが。
弁護士:へえー。うらやましいですね。
相談者:景色が最高なんですよ。でも、T君はちょっといいかげんなところがあって、本当にT君のものなのか少し心配なんです。
弁護士:登記簿は見てみましたか。
相談者:登記簿って何ですか。
弁護士:士地や建物の不動産について、その不動産の広さや用途などの現況や、所有者や抵当権の設定の有無などの権利関係を表示している公簿のことですよ。
相談者:それを見れば、だれのものか分かるんですか。
弁護士:一応はそうです。
相談者:それはどこに行けば見られるのですか。
弁護士:法務局やその支局、出張所などにありますよ。
相談者:そんなところに私が行ってもいいんですか。
弁護士:閲覧といって、だれでも見られるようになっているんですよ。一件の不動産について四百円の費用がかかりますがね。八百円納めれば、登記簿の謄本もとれますよ。登記所内で登記印紙という印紙を買って納めるんです。郵便局でも置いてあるところがありますよ。
相談者:まだ契約をしてい人いので、私のものではないんですけど、見られるんですか。
弁護士:だれでも、どこの不動産でも見られますよ。一般に公開することによって、不動産についての権利関係を明確にして、あなたのように不動産取引をしようとする人に不測の損害を与えないように、安全に円滑に不動産の取引を進めようとする制度なんです。
相談者:そうなんですか。
弁護士:所有者がだれかということ、抵当権や根抵当権、賃借権が設定されていないかなどは、前もって見ておいた方がいいですね。それから法務局では公図の閲覧もできるから、境界もついでに調べておくといいですよ。
相談者:さっそく法務局に行ってみます。
弁護士:法務局では管轄といって、受け持ちの区域か決まっているんですよ。だから、近くの法務局でどこの法務局がその土地を担当しているのか、聞いてみてから出かけた方かいいですよ。
相談者:はい、そうします。