「新民事訴訟法の内容は?」神戸新聞 1998年1月15日掲載
執筆者:津久井 進弁護士
民事裁判のスピードアップなどを目的にした新しい民事訴訟法が一日から施行されました。いったいどんな内容なんでしょうか。
相談者:裁判って、随分長くかかるんですねえ。
弁護士:どうしたんです。
相談者:私の友人が昨年裁判を起こしたんですけどね。なかなか終わらなくて、とうとう年を越したってぼやいているんですよ。
弁護士:まあ確かに、極めて簡単な裁判でも、何カ月もかかることが多かったですね。
相談者:友人の裁判なんて、貸した二十万円を返してくれっていうだけの、簡単なものなんですが。
弁護士:それは大変ですね。でも今年からは、ちょっと違ってくるでしょう。
相談者:何かあるんですか。
弁護士:新民事訴訟法が今年の一月一日から施行されたんです。
相談者:しんみんじ? そしょうほう・・・。何ですか、それは。
弁護士:民事訴訟法というのは、裁判の手続きを定めた法律です。つまり、裁判はその法律に書いてある通リに進みます。ところが、これまでは明治時代の古い法律でしたから、それが裁判遅延の原因になっているんじゃないかと指摘されてたんです。そこで、審理の充実や裁判のスピードアップなどを図るために、新しい民事訴訟法が制定されたんですよ。
相談者:ほほう。
弁護士:それから、言葉も分かりやすくなりました。OAの進歩に伴い、ファクスや電話でのやりとりもできます。近い将来、テレビ電話での証人尋問も行われるようになります。裁判実務に携わる者にとっては、画期的な法改正なんですよ。
相談者:確かに、ものを新しくするっていうのは結構なことです。
弁護士:友人には一度相談に来られるよう言っておいてください。
相談者:でも、友人は弁護士を立てると費用がかかるって、しり込みしてるんですよ。
弁護士:いやいや、そういう心配は無用です。今回のような少額事件につけても、新民事訴訟法は配慮しています。少額事件に限って、一回の期日で審理を終え、すぐに判決を言い渡す簡易な手続きが設けられたんです。その事件もすぐに解決することになるでしょう。
相談者:頼りにしています。