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1998年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「神戸児童連続殺傷事件でシンポ-人権や事件報道問う」神戸新聞 1998年2月19日掲載

執筆者:多田 徹弁護士

神戸弁護士会は二十八日、神戸市須磨区で昨年起こった少年事件に関するシンポジウムを開催します。今回はその内容の紹介です。

A弁護士:あの事件は多くの問題を投げ掛けた。特にいやしがたい苦痛を負った被害者やその家族が、マスコミの過剰な取材にさらされ、しかも加害者の少年の処分手続きにも直接関与できない立場におかれた。

B弁護士:弁護士をはじめ、法律関係者がこれまで十分に取り組んでこなかった重大な問題が提起されたということだ。

C弁護士:事件を機に、少年審判手続きの公開や検察官の関与、厳罰化などを求める声も強まっている。今回は、おびただしい情報か連日報道され過熱したが、事件報道、とりわけ少年事件の報道はどうあるべきか問われたのではないか。

A弁護士:シンポはそんな問題から、(1)犯罪の被害者が、真のいやしを得るためには何が必要か(2)少年審判の目的及び制度はどうあるべきか(3)事件報道はどうあるべきかーを中心的なテーマに、市民や学識者、マスコミ関係者、弁護士が一堂に会し、討論しようと開く。

B弁護士:バネリストには、それぞれのテーマを専門的に研究したり、実務にかかわってきた学識者らに参加してもらい、それぞれの立場から意見を述べてもらいたいと考えている。

A弁護士:参加予定のバネリストは、犯罪報道に関して浅野健一・同志社大数授▽少年法の分野から斎藤豊治・甲南大教授▽被害者問題に関して三木善彦・大阪大教授▽実務的立場から、日弁連「人権と報道に関する調査研究委員会」副委員長の野村務弁護士、神戸弁護士会「少年問題対策委員会」委員長の上田日出子弁護士、神戸新聞社編集局長の佐藤公彦氏、の計六人。
ほかにも、専門家だけでなく、犯罪被害の経験を踏まえた方々など、会場からも幅広く発言をいただく予定だ。

C弁護士:難しい問題ばかりだけど、何らかの結論は出るのだろうか。

A弁護士:結論を急いで出そうとは考えてない。むしろ、市民の皆さんとともに、それぞれ異なる立場から意見を出し合って討論し合い、あるべき解決への一歩を進めたいと考えて企画している。だから、一般の方にもたくさん参加してもらいたいと思っている。(シンポジウムは二十八日午前十時から、兵庫県農業会館=神戸市中央区海岸通一番地=で開催。入場無料)