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2002年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「臨時職員の解雇-雇用更新拒否無効の判例も」神戸新聞 2002年4月16日掲載

執筆者:矢野 耕司弁護士

1年契約の臨時職員として働いてきたのですが、契約満了日前日に「明日で辞めてくれ」と言われ、困っています。

弁護士:1年契約の臨時職員ですか。期間の定めのある雇用契約ということになりますね。この場合、原則を言うと、期間満了によって雇用契約は終了することになります。

相談者:もし1年が経過しても何も言われずに働き続けた場合は、どうなるのですか?

弁護士:期間経過後も仕事を続け、使用者が格別異議を述べない場合は、契約が更新されたものと推定されます。

相談者:では、期間満了前に辞めるように言われたら、あきらめるしかないのですか?

弁護士:必ずしもそういう訳ではありません。期間の定めのある雇用契約でも反復して更新されている場合、更新の回数、雇用の通算期間、継続雇用の期待をもたせる言動の有無などによっては、正当事由がない限り更新を拒否できないとされる場合があります。すなわち、さまざまな事情を考慮して、定められた期間の経過後も継続して雇用されるという期待を持つことがもっともだといえるような場合には、更新拒否が正当だと言えるだけの事情がない限り、更新を拒否できないということです。その場合、雇用契約は自動的に更新されることになります。このように考えて更新拒否を無効と判断した裁判例は、たくさんあります。

相談者:私は最初の契約期間が終了する前日にやめてくれと言われました。つまり、反復して更新されていないのですが。

弁護士:最近、最初の更新時に更新拒否したケースで、期間満了後の雇用継続を合理的に期待させるような雇用であれば、更新拒否が相当と認められる特段の事情が必要だとして、雇い止めを無効とした裁判例が出されました。期間満了後も継続して雇用されることを期待させるような事情のある場合、よほどのことがないと更新を拒否できないということです。

相談者:私が働いていた職場では、これまでずっと、臨時職員も自己都合退職以外は継続して雇用され、正規職員に欠員が出たときには臨時職員から登用されてきたと聞いています。ですから、私も当然継続して雇用してもらえるものと期待して入社したのですが…

弁護士:そのような事情であれば、継続して雇用されると期待しても当然ですね。更新拒否が無効と判断される可能性は高いと思います。