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2002年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「結婚による改姓-通称使用は可能な場合も」神戸新聞 2002年7月2日掲載

執筆者:細川 歓子弁護士

交際している男性との結婚を考えています。婚姻届を提出して戸籍上の姓が変わってしまうと、仕事上で旧姓を使い続けることはできなくなるのでしょうか?

弁護士:職場によっては、通称として旧姓を使い続けることができます。法律が改正されていない現段階においては、旧姓使用が許されない場合も多いかもしれません。

相談者:法律ではどのようになっているのですか。

弁護士:現行民法は夫婦の氏について、第750条で「夫婦は婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」と定めています。

相談者:夫婦別姓はまだ認められていないのですね。国会などではどのような議論がなされているのでしょう。

弁護士:選択的夫婦別姓、すなわち夫婦が同じ姓を名乗るか、別の姓を名乗るかを選べる制度の導入が議論されています。中でも「例外的夫婦別姓」制度の導入が検討されていますが、今国会での法案提出は見送られています。法案再提出をめぐる動きもあるようです。

相談者:例外的夫婦別姓とは?

弁護士:原則は夫婦同姓とし、どうしても同姓では困るという人に例外的に別姓を認めるものです。同姓が原則ですので、婚姻時に別姓を選択した夫婦も、後に同姓に変更することができます。

相談者:いずれにしても、今は別姓を選択できないのですね。

弁護士:そうですね。選択制は、法案が成立してからの話です。

相談者:今の状況で何か方法はありませんか。

弁護士:事実婚を貫く人、職場の理解を得て通称使用する人も増えています。まずはパートナー、そして家族や同僚たちに自分の考えを理解してもらうことが大切でしょう。

相談者:自分だけが改姓して面倒な思いをするのが、何となく不平等に感じる人もいるようですが。

弁護士:婚姻を届ける際には、氏だけでなく、本籍地を選択することができます。そこで、別姓とは別ですが、パートナーと話し合って、どちらかを互いに変更することで折り合いをつける夫婦も結構いるようです。

相談者:なるほど。法改正が行われればこんな悩みもなくなるのでしょうが、それまで、それぞれの立場で納得のいく形を選んで実行していくことが、改正へとつながっていくようにも思えますね。