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2005年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「子どもの面会強要-接近禁止申立可能に」神戸新聞 2005年5月17日掲載

執筆者:大岩 和紀弁護士

Q:26歳の女性です。5年前に結婚、3歳の子どもがいます。夫の暴力がひどいため、現在、子どもを連れて私の実家に身を寄せています。しかし、夫は「子どもに会わせろ。さもなくば無理やりにでも連れ戻すぞ」などと、電話で何度も強要してきます。子どもを守るすべはありますか。

A:以前から、このような子どもの面会強要が問題になっていました。しかし、このほど法律が改正されて、加害者である配偶者が子どもを連れ戻すと疑うのに十分な言動を取っていることなどが認められる場合、被害者とともに、被害者と同居している子どもへの接近禁止申立ができるようになりました。

このケースでは、申し立てが認められれば、半年間、あなたの夫は、あなたの実家や勤務先のほか、子どもの保育所の周辺や、あなたや子どもが普段からいる場所付近を徘徊(はいかい)できなくなります。

半年が過ぎてもまだ、あなたの夫が、以前と同じような言動を続けているなど、あなたに対して、子どもの面会を強要してくる恐れがあれば、再度、同様の申し立てをして、半年間延長することが可能です。夫と暮らしていた家を慌てて飛び出してきたなど、まだその家に荷物が残っている場合には、併せて退去命令を申し立てることで、夫に2カ月間、別の場所へ転居してもらって、その間、その家に近づけないようにすることができます。さらに、やむを得ず、実家への引っ越しを完了できない場合には、再度の申し立てにより、2カ月間延長することができます。

なお、今回の改正では、夫との離婚後であっても、配偶者からの暴力を受けた後に離婚したのであれば、引き続き暴力を受ける恐れがある場合について、接近禁止命令や退去命令の申し立てをすることができるようになりました。この場合でも、あなたは、お子さんを守ることができます。