「リフォームの追加-不安あおる業者要注意」神戸新聞 2005年6月21日掲載
執筆者:坂口 裕昭弁護士
Q:業者に自宅のリフォームの見積もりをしてもらい、全部で500万円で契約しました。しかし、工事の途中で「骨組みの内部に新たに腐食個所が見つかったので、やり変えないといけない。追加で200万円」と言われました。これに対し、「最初の話と違う。追加分は払えない」と断れますか。
A:今回のように、工事の着工後に追加代金を請求された場合には、まず、当初の契約内容と追加請求の内容を見比べ、追加請求の内容が当初の契約の範囲に含まれていないかを確認する必要があります。
もし、当初の契約の範囲に含まれていれば、追加代金の支払いを断ることができます。この点、当初の契約内容が不明確ですと、契約の範囲に含まれるか否かの判断に争いが生じる原因になりますので、当初の契約段階から、工事内容を明確にし、書面を取り交わしておくことが大切です。
次に、当初の契約の範囲に含まれていない工事は、いわゆる追加工事となりますが、そもそも追加工事を依頼するか否かは注文者の自由ですので、追加工事の依頼を断っても法的には問題ありません。そして、この場合も、追加代金の支払いを断ることができます。
もっとも、本当に骨組み内部が腐食しており、追加工事を依頼する場合には、その分の追加費用の負担も覚悟しなければなりません。予算上、どうしても追加費用を支払えない場合には、骨組み部分の補修も含めて当初の予算内で収まるように、他の部分の工事内容の変更も視野に入れて、業者と協議するべきでしょう。
なお、中には、直ちに補修しなければ家が倒壊するなどと言って注文者の不安をあおり、本来不必要な追加工事を強要する悪質な業者も存在しますので、補修の必要性や代金については十分に業者から説明を受け、疑問があれば、他の業者に現場を確認してもらうことも検討すべきでしょう。