アーカイブス

このページは旧サイトに掲載されていた記事のアーカイブです。

くらしの法律相談

HOME > くらしの法律相談(1997年-2007年) > 2005年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談 > 「有限会社が廃止に?-自社に有利な方法、考慮を」神戸新聞 2005年11月15日掲載

2005年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

≪2005年掲載一覧へ戻る

「有限会社が廃止に?-自社に有利な方法、考慮を」神戸新聞 2005年11月15日掲載

執筆者:高島 章光弁護士

Q:私は有限会社を経営していますが、近々、有限会社という制度が廃止されると聞きました。今のままではいけないのでしょうか。今までどおりでよいとしても、何か不利益な扱いを受けることはありませんか。心配です。

A:新会社法の施行は、平成18年5月ころの見込みとされていますが、新会社法のスタートにより、有限会社という会社形態は廃止され、株式会社に統合されます。

しかし、これまで有限会社として会社運営を行ってきたのに、いきなり株式会社としての会社運営を行わなければならない、というのでは、有限会社の経営者や出資者、取引先等において混乱が生じることが予想されます。

そこで、法律は,従来通りの有限会社法の規定に基づいて会社を運営したい有限会社に配慮し、「特例有限会社」に関する規定を定めています。

「特例有限会社」となれば、新会社法施行後も有限会社法特有の規定の適用を受けることができ、従前と同じ会社運営を継続することができます。

「特例有限会社」だからといって、特別に不利益な扱いを受けるということはありません。ただ、「特例有限会社」となってしまうと、株式交換や株式移転が認められないなど、新会社法の規定の適用が一部制限されてしまいますので、新しい制度を十分に活用できない、という点では不利益と見ることができます。

経営者の方は、いずれが自社にとって有利となるかを考慮した上で、「特例有限会社」として存続するか、通常の株式会社となるかを判断するとよいでしょう。

「特例有限会社」となるためには、商号中に「有限会社」という文字を用いている限り、特別な手続は必要ありません。

ただし、有限会社の定款に、社員の議決権、利益配当、残余財産の分配のいずれかに特別な定めがある場合には、法律に従って登記手続をしなければ、過料の制裁を受けてしまいます。

他方、有限会社を通常の株式会社に移行させるためには、定款変更により商号中「有限会社」とあるのを「株式会社」と変更し、法定の期間内に有限会社の解散の登記及び商号変更後の株式会社の設立登記をすることが必要です。