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2006年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「友人に金融業者紹介-保証契約は必ず書面で」神戸新聞 2006年2月21日掲載

執筆者:岸本 悟弁護士

Q:友人のA氏に、お金を貸してくれるところをと相談され、ある金融業者を紹介しました。ところが後日、その業者から「A氏が貸した金を返さない。あなたが紹介したのだから、保証したのも同然。代わりにあなたが払って」と言われ、支払いを請求されました。応じなければなりませんか。

A:保証とは、債務(貸金の返済)が履行されない場合に、その債務を主たる債務者(A氏)に代わって履行する義務を負うことを言います。保証は、債権者と保証人との間で締結される保証契約によって生じます。

相談者の方(以下「B氏」と呼びます)が、金融業者に対して保証人となることを承諾していれば、保証契約が成立し、金融業者からの請求に応じなければなりません。

B氏が、単なる紹介者として話をされていて、金融業者に対して保証人になることを承諾されていなければ、金融業者からの請求に応じる義務はありません。ただし、「A氏は信用できる人物である」などと、A氏に信用力があるように紹介をしていたような場合には、保証人となることを承諾していたものと認められ、支払い義務を負う可能性はあります。

そして、金融業者が「B氏は口頭で承諾していた」などと主張して、裁判所に訴えを提起することは考えられます。ですが、証拠となる書面がないような場合に、裁判で金融業者の主張が認められる可能性は低いでしょう。

そこで金融業者は、保証人の意思確認をするとともに、他人のなりすましを防止するために、保証契約を締結するに際して契約書(保証人欄)に保証人の署名・押印を求めるのが通常です。

今回も、B氏名義の署名・押印のある保証契約書を、証拠として提出する可能性があります。ですが、他人が権限無く署名・押印をしても支払義務を負うことはありませんから、保証契約書が偽造であると主張して請求を拒むことができます。

ちなみに、2004年12月の民法改正により、すべての保証契約は、契約書などの書面によって行わなければ無効となりました。金融業者に、保証人の意思確認をきちんとさせ、今回の相談のような無用なトラブルを防止する狙いがあります。ただし、2005年4月1日以前に締結された保証契約にはこの規定は適用されません。