「連帯保証人-家賃不払いにも責任発生」神戸新聞 2007年8月21日掲載
執筆者:中塚 恵介弁護士
Q:知人から頼まれ、2004年にこの知人が借りるマンションの連帯保証人になりました。賃貸借契約は同年4月から2年間でした。ところが、知人が契約を更新した後の今年になって、大家さんから「知人が家賃を滞納している」と、請求書が届きました。家賃不払いに責任があるのでしょうか。
A:マンションの連帯保証人になった以上、あなたは、原則として、契約更新後の家賃不払いについても責任を負うことになります。
マンションやアパートといった建物賃貸借については、借地借家法という法律の適用を受けます。これは、借家人保護のため、「○○年間」というように期間の定めのある賃貸契約について法定更新制度を採用しており、大家さんは、約定の期間が経過しても、「正当の事由」がなければ契約更新を拒否することはできないことになっています。このため、我が国の建物賃貸借契約は、更新されることが原則となっています。そして、最高裁判所は、建物賃貸契約の保証人の責任に関し、「保証人は、原則として、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れない」との判断を示しています。このような結論の背景には、契約が更新されることが原則である以上、更新後も保証人の責任が存続しないと、保証契約を結ぶ意味が無く、また、保証人になる人もこのことを承知の上で保証契約を結んでいるはずであるとの価値判断があるものと思われます。
ただ、あなたが保証人として賃貸人に対し知人の滞納家賃を支払ったとき、あなたは、知人に対して、支払った額を請求できることになります(これを求償権といいます)。もっとも、知人の経済状況によっては実効性がないかもしれませんが。
このように、建物賃貸借契約の保証人の責任は、原則として更新後も自動的に更新されてしまうことから、本人の予想以上に過大な責任を負うことになりかねません。保証人となる場合、全般に言えることですが、本件のようなケースでも、保証人となるかどうかは、慎重に判断して下さい。