遅延損害金-年利14.6%の範囲で支払い 神戸新聞 2009年4月21日掲載
Q:業者に自宅のリフォームを依頼しましたが、支払期限までにお金が用意できませんでした。
すると、業者から、本来のリフォーム代金に加え、年利40%の遅延損害金を請求されました。
契約書にはそう書かれているが、払う必要があるのですか。
A:まず、契約において、当事者の一方がその義務を怠った場合、債務の不履行により相手方に生じた損害を賠償する責任が生じます(民法415条)。
相談者のようにリフォーム代金を期限までに支払えない場合、契約上の代金の支払義務の履行が遅れるという形で、債務不履行になるわけですから、それにより生じた業者の損害を賠償することになるのです。
では、この場合に損害はどのように算出されるのか、という点です。
金銭の支払いが遅れることにより相手に生じる損害を個別・具体的に算出することは難しいため、民法は法定利息にしたがいこれを算出するものとしています(民法419条1項)。
もっとも、民法は契約当事者間の個々の合意によって、事前に賠償予定額を合意しておくことも認めており(民法420条1項)、
本件では、契約書において「年利40%の遅延損害金」という定めがあるので、まさにこの賠償予定額の合意に
当たるわけです。
では、実際に相談者は年利40%もの高額な遅延損害金を支払わなければいけないのかという点ですが、本件は相談者の自宅のリフォームについての契約ですので、個人(消費者)と事業者の間の契約として消費者契約法が適用されるでしょう。
消費者契約法は、契約上の損害賠償の予定額の合意に関して、年14.6パーセントを超える部分については
無効であるとしています(9条2号)。
この規定は、一般的に事業者に比べて、契約について知識に乏しい消費者を保護するためのものであり、強行法規といって契約上の当事者の合意に優先されて適用されるものなので、結局、相談者は年14.6%の範囲で
遅延損害金を支払うことになるでしょう。