飼い犬が人をかんだら-賠償責任負う可能性高い 神戸新聞 2009年10月06日掲載
Q:公園の柵に飼い犬をつないで、近くの店で買い物をしていました。
その間、飼い犬がなでようと近づいてきた女性をかんだようです。私に賠償する責任がありますか。
A:民法第718条第1項によると「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りではない」
とされています。
また同条第2項によれば「占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う」ことになっています。
相談者は女性をかんだ犬を飼っていたということなので、問題なく動物の占有者又は管理者に該当します。
とすると相談者が飼い犬について相当の注意をもって管理をせずに女性に損害を与えてしまった場合には、
女性への損害賠償責任が発生することになります。
問題は相談者が注意していたといえるかどうかですで、それは個々のケースによって異なります。
今回の相談のように、つないでいた飼い犬が人にかみついたようなケースでは、飼い犬が大型犬か小型犬か、どう猛な性格の犬であったかどうか、これまで人にかみついたことはあったか、犬のつなぎ方やつないでいた用具に問題はなかったか、つないでいた場所が自宅の敷地内か公の場所か、飼い主がすぐに犬のもとに戻れる場所にいたか否かなどを考慮することになります。
最近の裁判所の傾向としては飼い主の責任を安易に否定しない傾向が強いようです。
今回のケースでは、飼い犬をつないでいた場所は、誰でも出入り可能な公園で、相談者が現場を離れていたので、基本的には女性に対して相談者の損害賠償責任が認められる可能性が高いといえます。
ただし、女性がことさら犬を興奮させるような行動をして犬に近づいたような特別な事情があれば、過失相殺によって損害賠償額の減額を主張できる場合もあるでしょう。