修理中の代車費用-使用の必要性あれば請求可能 神戸新聞 2012年5月29日掲載
Q:工事業者が誤って飛散させた塗料が、私の車にかかってしまいました。修理工場に入庫させることになりましたが、修理代だけではなく、修理期間中の代車費用についても請求できるのでしょうか。
A:現実に代車を使用した場合、使用の必要性があるならば、代車費用を損害として請求することができます。ただし、代車の車種や期間によっては、かかった費用の全額を請求できるかを争うこともあります。
代車使用の必要性については、営業用車については原則として認められています。もっとも、自家用車は、必ずしもそうでありません。一般に被害を受けた車が通勤通学に使用されていた場合、必要性が認められています。しかし趣味やレジャーに使用されているならば、必要性が否定されることが多いと思われます。
また、代替交通機関があるならばどうでしょうか。例えば、被害車が通勤に使用されていた経緯はあるものの、電車で通勤ができるようなケースです。使用目的や使用状況に照らし、代替交通機関の利用が相当である場合(例えば、電車を利用する方が早く、安価でもある)には、必要性が否定されると思われます。
使用の必要性が肯定されたなら、次にどのような車の代車費用を請求できるでしょうか。代車は比較的短期間の応急措置ですから、被害車と全く同一車でなくても、被害車の用途に照らし相応な車であれば、代車費用を請求できます。もっとも、被害車に比べて、不当に高額な車の代車費用を請求することはできません。
また、工事業者との示談が長引き、修理が遅れた場合も、解決するまでの全ての代車費用を請求できるのでしょうか。
一般的には、修理等は被害車の所有者等が自ら行うものであり、加害者側の意向とは無関係にできるものです。被害者も損害が無用に拡大することは避けるべきですから、必要な修理期間を相当超えた時期の代車費用については、損害として請求できないケースが多いと思われます。話し合いが長期化するならば、自らの判断で早期の修理及び代車返却をされた方がよいと思われます。