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くらしの法律相談(2008年-2016年)

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2016年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

振り込め詐欺のお金を取り戻したい-すぐ警察と金融機関に連絡を 神戸新聞 2016年7月6日掲載

執筆者:有年 麻美弁護士

Q:振り込め詐欺に遭い、気付かないままに振り込みをしてしまいました。お金を取り戻したいと考えていますが、どうすればいいでしょうか。

A:振り込め詐欺とは、おれおれ詐欺、架空請求詐欺、還付金詐欺など、銀行口座などに金を振り込ませる詐欺の総称です。振り込め詐欺による被害の救済に関しては、いわゆる振り込め詐欺救済法が2008年6月に施行されました。
この法律に基づき、被害者は、警察や金融機関に申し出ることにより、金融機関に被害者が振り込んだ口座を利用停止(凍結)させ、その上で支払い申請することで、お金を取り戻せる可能性があります。従って、振り込め詐欺に遭った場合は、一刻も早く警察に通報するとともに、振込先の金融機関に連絡をして、振込先口座の取引停止(凍結)を申し出ることです。
凍結された口座に預金が残っていれば、そこから被害にあったお金を取り戻せる可能性があります。ただし、申し出をしても必ず振り込んだ全額が返還されるわけではありません。被害金の一部が既に引き出されてしまっている場合には、口座に残っている残額が返金額の上限となります。また、同じ口座に振り込みをした他の被害者が支払い申請をしているときは、口座に残ったお金を被害額に応じて分配することになります。
口座凍結の申し出をしたときに既に犯人が振込先口座からお金を全部引き出していた場合は、口座からお金を取り戻すことはできません。後日警察の捜査などによって犯人が判明した場合には、犯人に対して返還請求をする▽詐欺などで刑事裁判の判決が出たときに検察官に申請する―などにより、被害の全部または一部に相当する額が給付金として支給される可能性もあります。
しかし、振り込め詐欺の場合、犯人の名前や居場所が判明しないことも多く、犯人に対する返還請求は現実的には困難な場合が多いのです。従って、被害を回復するためには、振込先の口座からお金を取り戻せるかどうかが重要ですので、詐欺の被害に遭ったら、すぐに警察と金融機関に連絡をしましょう。