刑事拘禁制度改革実現本部は、「代用監獄」を廃止するための活動、未決・既決者の「拘禁制度」の改革を求める活動等をしています。
主な活動を説明します。
1 「代用監獄」を廃止するための活動
まず刑事手続を説明すると、被疑者(犯罪の嫌疑を受けた人)が逮捕された場合は、裁判所の決定により身体を拘束(勾留)され(通常事件で最大20日間)、その間の捜査の結果に基づいて起訴された場合は被告人として裁判手続によって有罪・無罪が判断されることになります。なお裁判で有罪無罪の判決が確定するまでの被疑者・被告人の状態を未決、判決が確定した状態を既決と言っています。
勾留後の被疑者は、本来は法務省所管の拘置所に収容されなければいけないのに、日本ではほとんどの場合、警察署内の留置場に収容されます。留置場に収容されるのは本来の姿ではないので、このことを指して「代用監獄」と言っています。
「代用監獄」の多用は、犯罪捜査を担当する警察が被疑者の身体を管理しているのをよいことに、自白を獲得するためにまたは長時間・苛酷な取調べを行うために使われており、今までにも数々の冤罪事件・人権侵害事件を生み出してきました。
こうした「代用監獄」は、先進国ではとっくに廃止された制度であり、捜査機関による人権侵害を引き起こさないよう、捜査機関と被疑者を拘禁する機関を別にすることが世界の常識となっています。
つまり、日本の後進性は際だっています。
弁護士会では、こうした「代用監獄」を廃止するための活動を行っています。
2 未決・既決者の「拘禁制度」の改革を目指す活動
さて、逮捕・勾留されたり有罪が確定して刑務所で服役する場合には身体が拘束されることになります。
このことを、刑事手続上の身柄拘束と言う意味で、刑事拘禁と呼びます。
さて、刑事拘禁施設の職員による未決・既決者への人権侵害等については、国際レベルからかけ離れているとして今までたびたび問題視されてきましたが、ついに、名古屋刑務所での職員による暴行死事件という悲惨な事件まで引き起こしてしまいました。
これをきっかけに、「刑事被収容者処遇法」が施行され刑事拘禁制度は新たなものとなりましたが、今でも未決・既決者はたとえば十分な治療を受けることができないなどといった問題点が指摘されています。
刑事拘禁制度改革実現本部では、今後も未決・既決者の拘禁制度の改善に取り組んでいきます。
また、無罪推定を受ける未決者(刑事裁判で有罪無罪が確定していない人)にとっては、刑事裁判の準備や身柄拘束されている間の心配事の相談など弁護人に用件を伝える必要性は大きく、弁護人には立会人なしに被疑者・被告人と接見する権利(秘密接見)が保障されています。
弁護人と拘禁者との連絡方法を拡大することには意義があり、兵庫県内では、神戸拘置所にいる被疑者・被告人と弁護人との間の「電話による外部交通」(ただし現状では秘密接見ではありません)が行われるようになりました(試行)。
3 外部リンク
詳しくは……日弁連・刑事拘禁制度改革実現本部